スウェーデン研究留学<準備編Ⅰ>

留学

こんにちは。スウェディッシュヌードラーです。

 

これから2回に渡って、スウェーデンに研究留学するに至った経緯を少しシェアできればいいなと思います。その中で、特に博士課程での研究留学に必要な準備や手続きなどにも触れていければいいなと。

というのもスウェーデン留学に関するブログを見ていると、ほとんどが学部生の交換留学や大学院の正規学位留学を中心にしたものばかりで、大学院への研究留学を扱ったものが少なく、もどかしい思いをしたからです。これから研究でスウェーデンに留学をしたい!と思っている方たちに少しでも力になれたらなと思っています!

 

さかのぼること、7年前の2012年(さかのぼりすぎ感は否めない)。

僕は学部の交換留学でスウェーデンにやって来ました。

「移民」と「教育」に関心があった僕は、移民を多く受け入れている国の教育事情を見てみたいという思いで、スウェーデンを選びました。

こう話すと、いつも「スウェーデンって移民が多いの?」と聞かれますが、感覚的にも数値的にも多いと言えると思います。

 

◆スウェーデンのプチ移民事情

ここでは移民をどう定義するかは割愛するとして、移民を背景に持つ人という括りで考えます。

スウェーデン統計局(SCB:Statistiska centralbyrån)のウェブサイトを見ると、ある当人について「外国生まれ」、「外国生まれの両親を持つスウェーデン生まれ」、「片方の親が外国生まれでもう片方がスウェーデン生まれのスウェーデン生まれ」、「外国籍」というような分類がなされています。2018年2月現在、「外国生まれ」人口だけを見ても、約187万人です。

2019年現在、スウェーデンの全人口が約1000万人ですから、単純な割合で考えてみると、そのインパクトはかなり大きいと言えるのではないでしょうか。

 

話が逸れましたが、そんなスウェーデンでいろんな学校現場を訪れフィールドワークをし学びを得た交換留学を終え帰国した僕は、学部4年。就活ではなく、海外の教育系の大学院で政策を学びたいと思い、大学卒業後にイギリスでの修士留学をするに至ります。ロンドンで教育政策系の修士号を取り、帰国した僕は、20代半ば。さらなる院進を考えるも、就活をし日本の民間企業に新卒就職するに至ります。

自分自身で納得したうえで入社し頑張った社会人生活でしたが、研究への思い残しやその他諸事情から、もやもや感が否めず、終わりを迎えます。

そして2018年4月、またアカデミックな世界に出戻りをします。

 

「移民」と「教育」という大テーマは学部の頃から変わっていません。しかし、これまで日本をフィールドにしてきましたが、現在はスウェーデンのムスリム(イスラーム教徒)移民の子どもをテーマに研究をしています。

「自分で現場に行って現場の声に耳を傾ける」ことを大切にし、フィールドワークをベースにした研究をしたいと考えていたため、スウェーデンに行くしかないと思い至り、研究留学の道を選びます。

 

さて、長い前置きはこれぐらいにして、、今回の僕の留学形態は「研究留学」です。

いわゆる大学から派遣される交換留学や私費での語学学校入学、大学院への正規入学ではなく、日本の大学に籍は置きつつも、海外の大学で自分の研究を行うために、特別に受入許可をもらって実施する、というものです。

今回の研究留学を実現するために必要だったと考えるもの(実際にやったこと)は、以下の通りです。

※今回は①と②と③についてです。

①予備調査(2018年9月)

②受入許可書入手(2018年10月)

③助成金獲得(2018年11月)

④航空券/住居手配(2018年12月)

⑤移民局(Migrationsverket)への居住許可申請(2019年1月)

⑥日本での手続きごと(役所関係、好きなもの食べ納め)(2019年2月)

⑦出発!!!(2019年3月)

 

①予備調査

2018年5月、大学の掲示板でたまたま見つけた海外関連の支援金。

締め切りが数日前に迫っていましたが、研究留学したい大学の先生や研究フィールドとなる学校で予備調査ができる良い機会だと思い、申請をしました。

この審査が無事下り、2018年9月にスウェーデンに予備調査へ向かいました。

予備調査と言っても、上記の通り、いわゆる研究室訪問と学校の先生への挨拶回りとちょっとした観察とインタビューです。

◯研究室訪問

→関連の研究者数名にめちゃくちゃ長文のメールを送りつけました。一番会いたかった教授とは4月ぐらいからやり取りを始めていて、夏に行くかもという雰囲気を漂わせ、やり取りを続けました。無事支援金が下りることが分かった時点で具体的な日程調整をしました。他の大学の研究者とも時々メールをしながら、日程調整を続けました。

やはりスウェーデンは日本から遠い国なので、わざわざ来てくれたということだけでも印象は良いかなと僕は考えています。それにメール上とはいえ実際にやりとりをした後なので、かなりウェルカムな状態で迎えてくれます。スウェーデンに研究で留学をしたい方は、ぜひ自己紹介長文メールを送りつけてやり取りをし、長期休暇中に訪問するなどしてみてください!

 

◆スウェーデン宛のおすすめメール時間帯

スウェーデンのメールやり取り事情は、決して良いとは言えず、返信が1〜2週間後なんてザラです。しかし、ちゃんと返信をくれる方もいて、今回はラッキーなほど、やり取りがスムーズにできました。

ちなみに私が勝手に見つけたおすすめ時間帯は、「スウェーデンの始業時間ごろの午前7〜9時」です!

スウェーデンとの時差は、8時間(サマータイム時期は7時間)なので、日本の夜遅い時間にメールを送れば、運が良いと寝る前に返信が来て何件かやり取りをしてスッキリ寝られる、もしくは朝起きたら返信が来ている、ことがかなりあります。ぜひお試しください!笑

 

②受入許可書入手

→この受入許可書は、スウェーデンでの研究留学には必須です。というのも後述する(次回)、移民局(Migrationsverket)への申請書類の一つだからです。とはいえ、どの国へのどんな留学形態でも留学先からの受入許可書は必須ですね。

交換留学では、いわゆる国際センター的な正式な部署を通して、スタンプが付いたような正式な(公的な?)書類をもらうことが普通です。

しかし、今回の研究留学は、個人的にコンタクトを取り、受け入れまでこぎつけなければならなかったので、受け入れしてくださる研究者に書いてもらえないか依頼をしました。快く引き受けてもらえたので、作成してもらい、署名をつけて直接メール添付で送ってもらいました。僕のように、日本の大学院に在籍したまま研究留学をしたい場合は、単純に「a certificate from the university in Sweden」でさえあれば何でも大丈夫な気がするので、定型のフォーマット等はないと思います。受入研究者にお任せしましょう。

ちなみに、フィールドワークの都合もあり、学部時代に留学をした大学に落ち着きました。

※研究留学と言っても、博士号をすでに持っていてポスドクや教員をされている方の場合は、また違った身分で申請をすることになるので、移民局のウェブサイト(https://www.migrationsverket.se/English/Private-individuals.html)をご確認ください。

 

③助成金獲得

→やはりなんだかんだ物価の高いスウェーデンでは、日本で大学院生活を送るよりもお財布には厳しい生活になると思います。大学院生の研究留学を支援する助成金や奨学金はそれなりにあります。僕は、タイミングを逃してしまったり、研究分野が合致しなかったりで、結局2つしか申請ができませんでした。

一つは、大学独自の助成金。

もう一つは、ある財団の助成金。

結局、大学独自の助成金のみ獲得できました。もっと計画的にできていれば、申請チャンスが増えていただけに反省です。同時に「すでに海外にいたらダメ」「併給不可」というような条件があるもの以外で、海外からも申請可能なものもあるので、チャレンジします。

そして、一時期(例えば交換留学時の2012年)と比べると、だいぶ留学関連の奨学金は増えています。応募できるものにはどんどん応募した方が良いと思います。

アンテナを張って、大学の掲示板や奨学金関連のウェブサイト(例えば、奨学金.Net https://xn--kus49bd41h.net/index.html)などを逐一確認するのをおすすめします。

 

大学院生の研究留学に必要なこと、前半部分をお話ししてきました。次回は後半部分、もう少し手続き的な話をしたいと思います。

留学全般の質問や疑問は、いつでも受け付けていますのでお気軽に。

 

Hej då!

 

参考文献

Migrationsverket(移民局)ホームページ(最終アクセス2019年3月24日)

(https://www.migrationsverket.se/English/Private-individuals.html)

奨学金.Netホームページ(最終アクセス2019年3月24日)

(https://xn--kus49bd41h.net/index.html)

 

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